※この投稿の内容は、私が感じたことや体験したことを元にまとめています。
※記憶をたどりながらまとめましたので、会話の部分などに違いがあるかもしれません。
※医療に関することなども、実際とは違うかもしれません。
※スピンラザ投与のところは、なるべく詳しく書いたため、長文になっています。
※痛みの感じ方は人それぞれ違いますので、それらをふまえた上でご覧いただけたら幸いです。
スピンラザによる治療に至るまでの経緯は、以下の投稿をご参考ください。
・「スピンラザ」による治療を受けることになりました
・スピンラザ投与に至るまで(1)
・スピンラザ投与に至るまで(2)
・スピンラザ 初回投与を受けました
・スピンラザ 2回目の投与
3回目のスピンラザの投与のため、4泊5日の日程で入院してきました。
今回は、前回から2ヶ月空けての投与。
「あれからもう2ヶ月も経ったのかあ~」
と、月日が経つ早さを感じるものの、さすがに3回目ということもあり、入院前の緊張感は全くありませんでした。
(強がっている訳ではありませんよー笑)
前回は、髄注の痛みや痺れが伴いましたが、痛くてもこの程度だな~と把握できたので、不安もありませんでした。
初回投与の時は、あんなにビビっていたのに、慣れとは不思議なものですね。
入院 1日目
いつもと同じように、入院手続きを済ませて、以下の検査を受けました。
- 血液検査
- 肺機能検査
- 心電図
- 胸部レントゲン
検査が終わると病棟へ。
これまでの入院と同じ病棟なので道順に迷うこともありません。
今回は個室が空いていて、初日から入ることができました。
前回の入院でもお世話になった看護師さんがその日の担当で
「お久しぶりですね~」
と、挨拶しながらバイタルチェック受け、持参してきた薬などをお渡ししました。
この日は、検査やリハビリはなく、午後から薬剤師さんによる投薬のチェック、臨床工学技士さんによる呼吸器の設定値の確認がありました。
このあたりの流れは毎回同じなので、少し懐かしさを感じながら受けていました。
夕食後に主治医の先生が顔を観に来てくださりました。
いつもながら表情から優しさが溢れ出ていて、先生のお顔を見るとホッとします。
先生に、前回の投与後からの様子や変化として
- 舌の動きが良くなった(言語聴覚士さん)
- 唾液の分泌量が増えた(歯科衛生士さん)
- 頭が前に傾いたとき、傾き具合によっては自力で戻せるようになった
などをお伝えしました。
そして、血液検査の結果、CKとクレアチニンの数値が少しずつ増加しているそうです。
CKとクレアチニンは筋肉に含まれる酵素や物質らしいのですが、僕の場合、病気の特性上、正常値よりも数値がかなり低いらしく、それらが増えてきているのは、スピンラザの効果の表れではないかと、仰有っていました。
CK
酵素の一種で、筋肉細胞に最も多く含まれています。
数値は筋肉量に比例するため、男性の方が女性よりも高くなる傾向があります。
クレアチニン
クレアチンリン酸という物質は筋肉が運動するための重要なエネルギー源です。
まだ、効果を感じられる程の実感は得られていませんが、実際に上昇している数値を見ると、嬉しさが込み上げてきます。
明日はいよいよ3回目のスピンラザ投与。
10時30分から手術室で行われることになりました。
入院 2日目
昨夜はぐっすりと眠れました。
普段、家では食べない朝食もしっかりいただき、トイレを終えてベッドに寝かせてもらい、スピンラザ投与の準備は万全。
しばらくして、その日の担当看護師さんが挨拶に来られました。
バイタルチェックやスピンラザ投与前後の流れなどの説明を受けているところ、麻酔科の先生が病室まで来てくださいました。
1回目、2回目のときと同じ麻酔科の先生が今回も髄注を担当してくださるので安心です。
この麻酔科の先生、看護師さんの話しによると、僕と同じように変形などで通常では針を刺すのが困難な患者さんへの麻酔も対応されていて、高い技術を持っておられるとのことです。
だから、これまであまり痛くなかったんだなーと納得です。
Mizutaniさん、今日よろしくお願いしますね。
なるべく痛くないようにしますからねー。
いつもありがとうございます。今回もよろしくお願いします。
はい。
ところで同意書は書いていただけましたか?
いえ、まだそのようなお話しは聞いていないのですが…
手術室で行うので同意書が必要なんですよ。
これからお持ちしますね。
ヘルパーさんに同意書への署名を代筆してもらっているところ、 担当看護師さんが病室に来られました。
10時に手術室に入室することになりましたので、そろそろ行きましょうか?
分かりました。
手術室まではどうやって行きますか?ストレッチャーですか?
そうですねー。
ベッドからストレッチャーに移ってもらって、手術室に向かいますね。
ヘルパーさんに、車椅子に設置している呼吸器をストレッチャーに移してもらい、看護師さんと看護助手さんがスライディングボードを使って、僕をストレッチャーに移乗してくださり、手術室へと向かいました。
頑張ってくださいね。
終わったあと、頭痛や吐き気を訴える患者さんもおられるので、何か変化があったらすぐに伝えてくださいね。
ありがとうございます。
でも、これまでの投与では、頭痛や吐き気とかなかったんですよー。
そうなんですかー?
他の患者さんは、痛いのとしんどくなるのとで、手術室へ向かわれるときからテンションが下がり気味でしたよー。
と、手術室に向かう途中も、看護師さん、看護助手さんが優しく励ましてくれました。
あれ…?
今日はスピンラザを取りに調剤室へ行かないのかな?
と、思っていたら手術室に到着。
自動ドアが開き、中に入ると手術室の看護師さんが出迎えてくださいました。
看護師さん
おはようございます。お久しぶりですねー。
前回お世話になった看護師さんと同じ方で、覚えてくださっていたことに感激です。
お久しぶりでーす。またよろしくお願いします。
看護師さん
よろしくお願いします。
では、お名前と生年月日を教えてください。
名前と生年月日を伝えて、患者確認の完了です。
病棟から送ってきてくださった看護師さんから、手術室の看護師さんへ申し送りが行われます。
看護師さん
あれ?モノ(スピンラザ)は?
やはり、スピンラザを調剤室から運んでこなければならなかったようです。
慌ててスピンラザを取りに行かれました。
看護師さん
では、お部屋に移動しますね。
手術室内の廊下を進むと、手術台が中央にあるひときわ明るい部屋へと入って行きました。
(たぶん前回と同じ部屋だったと思います)
麻酔科の先生や手術室の看護師さん数名で、ストレッチャーから手術台に移乗してもらい、右側を下に、なるべくうつ伏せに近い体勢になるように体を向けてもらいました。
胸には心拍、腕には血圧、指にはSpO2のモニターが手際よく装着されていきます。
手術台は、電気毛布が敷かれていたのか、ほんのり温かく心地良くて気持ちが安らぎます。
(緊張感がないと言いながら、いざ手術台に乗るとやっぱり緊張してしまいますね笑)
外来診察中の主治医の先生が来られるのを、そしてスピンラザが届くのを待っている間に、X線透視装置の位置調整が行われ、麻酔科の先生の指示のもと、看護師さんがポータブル装置を手動で位置や角度の調整をされていました。
今回は、X線のモニターが僕にも見える位置にあり、調整の様子を見ていたのですが、背中に当てた鉗子がモニターに映るのを見ながら、背骨との位置や角度を調整されていました。
しかし、背骨はしっかり映るものの、脊髄や突起した骨は僕の目では確認できず、これで刺す位置が判るってすごいなぁーと思いながら、その様子を見ていました。
位置の調整が終わると、髄注に必要なスパイナル針や麻酔薬のキシロカインなどの確認を行われていました。その後は、いつもと同じように消毒からスタートです。
ちょっとヒヤッとしますよー。
針を刺すあたりを中心に、円を描くように消毒液が塗られていきます。
今回は、いつもより念入りに塗られている感じでした。
そして、背中にシートのようなものが掛けられます。
たいそうにしている感じですが、いつもと同じ流れなので安心してくださいね。
このように、ところどころ声を掛けてくださるので安心です。
スピンラザも届き、主治医の先生も外来診察の合間に手術室に来てくださり、準備も整いました。
では、スピンラザ投与を行います。
髄腔内に5ml投与。所要時間は20分程度です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
看護師さん
よろしくお願いしまーす。
Mizutaniさんお待たせしました。これから始めますね。
少しチクッとしますよー。
はーい。よろしくお願いします。
いつもと同じように、麻酔の針が刺さる瞬間にチクッとして、薬が入るときの押されてるような痛みを感じました。
モニターを見ると、針の先から薬が出て、背中周辺に広がっていく様子がよく分かります。
看護師さん
痺れたりしませんかー?
看護師さんが、時おり声を掛けてくれます 。
全然大丈夫ですよー。
押されてる痛みはすぐに和らぎ、麻酔が効いてきたようです。
麻酔の針が抜かれ、次はスパイナル針が刺されます。
このときの痛みは全くありませんが、針が深く入っていく感覚は何となく分かります。
そして、嫌~な強い圧迫感が背中に伝わってきました。きっと髄腔に針が到達したのでしょうね。
その圧迫感はすぐに治まりました。
入ったんですかー?
看護師さん
今、髄液が出るか確認されてますよー。
どこか痺れたりしていませんかー?
大丈夫ですよー。
髄液が出ることを確認して、注射器で髄液を5ml抜かれたようです。
はいオッケーです。
続きよろしくお願いします。
ここで、スピンラザの梱包から解いて、投与の準備が始まりました。
看護師さん
痺れとかないですか?
今、先生が手でスピンラザを人肌程度に温めてくださっていますからねー。
針が入ればもう一安心。
あとはスピンラザを髄腔に注入するだけです。
気持ちにゆとりが出てきたので、看護師さんに話しかけてみました。
このあと手術があるのですか?
看護師さん
今日は手術の予定は入ってないんですよー。
手術がない日はどのように過ごされているのですか?
看護師さん
手術がない日は、病棟へお手伝いに行ったりしてます。
そうなんですねー。
じゃあ、手術がない日もお忙しいんですね。
看護師さんとお話ししながら、スピンラザが人肌程度に温まるのを待っていました。
そして、スピンラザが温まり、注入開始です。
ストップウォッチで5分のカウントが始まり、先ほど髄腔に刺したスパイナル針に、スピンラザが入った注射器が装着されます。
このとき、一瞬つま先に衝撃が走りました。
つま先に一瞬衝撃が走りましたが、すぐに治まりました。
衝撃が走ったのね?今は大丈夫だね?
はい。一瞬だけで、今は大丈夫です。
じゃあ、僕が針を抑えておきますので、先生は薬を入れてください。
どうやら、注射器を針に付けたときに、少し針先が動いて神経に触れてしまったようです。
麻酔科の先生が針を手で固定して、主治医の先生がスピンラザを注入してくださりました。
大丈夫ですかー?
順調に入ってますからねー。
でも、 入れているこの瞬間が一番緊張するんですよねー。
そりゃそうですよね。高額な薬ですもんね。
そんな会話もしながら注入が進んでいきます。
人肌程度に温めてくださっているので、薬が入っている感覚は全くありません。
半分ほど注入されたところで、針先に痛みを感じるようになりました。
採血や点滴のとき、血管の壁に針先が当たるときの感じで、それより少し強い感覚です。
少し針先が痛みます。
痛い?足の痺れはどう?
足の痺れは大丈夫です。痛いのは針先だけです。
その後も、針先の痛みを時々感じました。
薬が入りにくくなったので、もう一度刺し直しますねー。
再度、麻酔のチクッとした痛みがあり、強い圧迫感があって、髄液が出てくるのを確認してから、スピンラザの注入が再開されました。
残りは痛みもなくすんなり注入できました。
いつの間にか針が抜かれ、しばらく止血してから絆創膏を貼ってもらい、投与が終了しました。
再びストレッチャーに移乗してもらいその時に分かったのですが、僕のスピンラザ投与には、主治医の先生、麻酔科の先生、手術室の看護師さん4名、計6名の方が携わってくださっていました。
皆さん常に優しく声をかけてくださり、談笑もしながら、リラックスして過ごすことができました。
手術室の出口では、迎えに来てくださった病棟の看護師さんに申し送りが行われました。
その時、抜いた髄液を見せてもらったのですが、初めて見た自分の髄液は、無色透明で透き通っていました。
(濁っていたら、どこかに異常があるそうです)
10時に手術室へ行き、病室に帰ったら11時を過ぎていました。
スピンラザ投与に1時間掛かったようです。
ベッドで上を向いて2時間の安静。
その後、バイタルの異常もなく、頭痛も吐き気もなかったので、2時間の安静後は車椅子に座り、遅めの昼食を取りました。
昼食後も異常はなく、売店に行ったり院内を散歩することもできました。
入院 3日目
スピンラザ投与翌日も、後遺症や副作用の症状も出ませんでした。
いつもは、針を刺したところに痛みが残るのですが、今回はその痛みもありませんでした。
午後からは入浴でした。
そのとき、担当してくださった看護師さんが、なんと手術室でお世話になった看護師さんでした。手術がないときは病棟にお手伝いに行くとは聞いていましたが、まさか翌日に入浴介助をしてもらうとは思ってもいませんでした。
(これも何かの運命でしょうか笑)
久しぶりの入浴でスッキリし、病室でテレビを観たり読書をしながらゆっくり過ごしました。
入院 4日目
この日も後遺症や副作用の症状はありませんでした。
午後から理学療法士さんによるリハビリを受け、四肢の力の入り具合や可動域のチェックしてもらいました。
入院 5日間
午前中に理学療法士さんによるリハビリを受けて、予定どおり退院することができました。
まとめ
3回目のスピンラザ投与は、針先の痛みや一瞬衝撃があったものの、2回目に比べたらかなり楽でした。
髄注の痛みの程度も判り、感覚にもだいぶん慣れてきたので(そんなに痛くはないけど、背中に針を刺すのは何度やっても嫌な感じです)、今後も落ち着いて受けられそうです。
スピンラザ投与の感想は
- 麻酔は、針を刺すときにチクッとする程度で、薬が入る圧力を感じますが、麻酔がすぐに効いてくるので一瞬で和らぎます。
- 髄注は、針を刺す痛みは全く感じませんが、針が深く入っていく感覚はあり、髄腔に針が入るときに、強い圧迫感を感じました。
感じ方によっては少し痛むかもしれませんが、我慢できないような痛みではありませんでした。
主治医の先生や麻酔科の先生、病棟のスタッフの皆さん、そして普段お世話になっているヘルパーさんたちが全面的に入院生活を支えてくださったおかげで、3回目のスピンラザ投与も無事に受けることができました。
ありがとうございました。
次回の投与は3ヵ月後、年明け1月になりました。
これが終われば、半年に1度の投与間隔となります。
スピンラザの投与によって、劇的な改善は望めなくとも、病状の進行が抑えられる、もしくは進行のスピードが緩やかになるだけでも意義があると思っていました。
しかし、今回の入院で、ホンの少しではあるものの、スピンラザの効果が検査結果の数値に表れたことは、今後の治療に大きな励みとなりました。
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