スピンラザの初回投与のため入院してきました。
4泊5日の入院の様子をまとめましたが、スピンラザ投与のところは、なるべく詳しく書きました。
その分、長文になっています。
スピンラザによる治療に至るまでの経緯は、以下の投稿をご参考ください。
・「スピンラザ」による治療を受けることになりました
・スピンラザ投与に至るまで(1)
・スピンラザ投与に至るまで(2)
※この投稿の内容は、私が感じたことや体験したことを元にまとめています。
※医療に関することなど、実際とは違うかもしれません。
※痛みの感じ方は人それぞれ違うと思いますので、それらをふまえた上でご覧いただけたら幸いです。
入院 1日目
治療を受けると決めてから約1ヶ月半。
入院する日の朝は、やっとこの日が来た!って感じで、意外にもそんなに緊張感やドキドキ感はありませんでした。
元主治医の先生(今回の入院では主治医の先生なので、以下より主治医の先生と記します)がおられる病院に着き、入院の受付を済ませたら、病棟へ行く前に早速、次の検査を受けました。
- 採血
- 肺機能
- レントゲン
病棟へ行く前に検査を受けられたことで、病棟と外来を行ったり来たりせずに済んだので良かったです。
スムーズな流れも主治医の先生のご配慮なのでしょうね。
その後、看護師さんが受付まで迎えに来てくださり、病棟へ案内していただきました。
病院自体は古い建物で、昭和を思わせるようなところもありましたが、入院する病棟はまだ築数年しか経っていないらしく、廊下は広く開放的で、造りも綺麗で明るく落ち着いた印象を受けました。
入院中、ヘルパーさんに付き添いをお願いしたので個室を希望したのですが、想像していたよりも広くて、トイレやテレビも付いていて良い感じでした。
午後からはリハビリが組まれていました。
言語聴覚士さん
滑舌や舌の動き、お昼ご飯の様子を見ながら咀嚼や嚥下状態をチェックされました。
作業療法士さん
リハビリ室へ行き、投与前の運動機能の評価を行ってもらいました。
この評価ですが、スピンラザを投与する患者さん用に決められた評価項目があるそうです。
ネットで検索したところ、たぶん以下のリンクの評価スケールではないかと思われます。
上肢モジュール改訂版
内容は
- 机の上に置いてあるコインや鉛筆をつかむ
- タッパーの蓋を開ける
- 紙を破る
- 200グラムの容器を持ち上げる
- ボタンライトを押す
などなど、作業療法士さんが一つ一つ確認するのを恐縮されるくらい、僕には不可能な動作ばかりで、評価点数は見事に0点でした。
決められた評価項目が0点だったため、車椅子の操縦やタッチペンの操作など、今できることをビデオ撮影して記録してくださったほか、手の動きの評価として、グーパー、グーパーを10秒間に何回できるかの測定も行いました。
理学療法士さん
手や足などの関節の可動域や、筋肉の動きなどをチェックされてました。
その後、検査などはなく、就寝時間までのんびり過ごしました。
入院 2日目
いよいよ、スピンラザ投与の日がやってきました。
治療を受けると決めたときはあんなにドキドキしていたのに、朝になっても不思議と緊張感はありませんでした。
麻酔科の先生が午前中は手術が入っていて、その手術が終わってから、手術室にてスピンラザの投与が行われることになりました。
14時からの予定とのことです。
午前中は作業療法士さん理学療法士さんが病室を訪問してくださり、関節の角度や腕や足の太さなどを測定されました。
その後、お昼ご飯の時間までベットの上でゆっくりしていたのですが、11時半ごろになって看護師さんが病室に来られ
手術が早く終わって11時45分からに変更になりました
お昼ご飯を食べ終わったらいよいよだなぁ~と、ゆうちょに構えていましたが、急遽時間が早まり、一気に緊張が高まってきました。
手術室で行われると聞いていたので、てっきりストレッチャーに乗って手術室まで行くのだろうと思いベットの上で待っていたのですが、5分ほどして看護師さんが再び来られ
あれ?
まだ車椅子に座ってないのー?
えっ!?
車椅子で手術室まで行くの??
と思いながら、ヘルパーさんに車椅子に座らせてもらいました。
台に寝ないといけないので、ヘルパーさんも一緒に来てもらえますか?
えっ!?
ヘルパーさんも手術室に??
と思いつつ、ヘルパーさんに車椅子を押してもらって、看護師さん2人とともに、手術室へ向かいました。
看護師さんに聞いてみました。
髄注って痛いですかね?
痛いと思うよ。たぶん(^─^)ニコッ
やっぱり汗
直前になって、なかなかビビらせてくれます。苦笑
あれ?
これ受付や外来の方に向かっているんとちゃうかな…
手術室に向かっているはずなのに、受付や外来に向かっていることに気づき、担当看護師さんに聞いてみると、
放射線科で行うことになったんですよ~
なるほど!
これで、車椅子に乗っていくことも、ヘルパーさんが同行しても良いことにも納得!
放射線科へ向かう途中、看護師さんの一人が
薬もらってくるから先に行っておいて
と調剤室へ入って行かれました。
他の患者さんの処方薬でも取りに行かれるのかな?
でも、こんなときに?
と思いつつ、放射線科に着くと、レントゲン台の上にモニターが2つ設置されている部屋に案内されました。
少し遅れて、先ほど薬を取りに調剤室へ行かれた看護師さんが、発泡スチロールのような青い箱が乗せられた台車を押して、戻って来られました。
その青い箱こそがスピンラザが入れられた箱だったのです!
ヘルパーさんに、レントゲン台の上に寝かせてもらいました。
なるべく、うつ伏せに近い姿勢になってもらえますかー
うつ伏せにはなれないので、右側臥位に体を向かせてもらました。
ここでヘルパーさんは退室されました。
ウィーン、ガチャ。
ウィーン、ガチャ。
まずは、髄注箇所がX線に映るようにレントゲン台の高さや位置の調整です。
位置が定まると、背中の後ろの方から、袋のようなものを破ったりするような音が聞こえてきます。
きっと髄注の準備をされているんでしょうね。
その音を聞きながら、
あぁ~もう逃れることはできないな…
と、今更ながら思いつつ、正にまな板の鯉状態。
さあ、いよいよです!
背中の服をめくりますよ~
肩甲骨の下あたりまで、服がめくり上げられます。
では、消毒をしますね。ヒヤッとしますよ。
腰のやや上の背骨のあたりを中心に、円を描くように消毒液が塗られて、ガーゼのようなもので拭き取られている感触がありました。
そして、穴の空いた布のようなものを背中に被せられ…
うぁ~、これって手術やん!
テレビドラマの手術シーンが脳裏をよぎります。
と、思っていたら準備完了。
じゃあ、始めますよー
よろしくお願いします。
麻酔をしますね。
少しチクッとしますよー
腰の上あたりを指で触れ、刺す位置を確認されてから、チクッ!ときました。
採血の針を刺すときよりも痛くありません。
針が刺さり、インフルエンザの予防接種の薬が入るときと同じような痛みを感じたと思ったら、すぐに痛みが和らいでいきます。
きっと、薬を入れている途中から麻酔が効いてきたのでしょうね。
麻酔が終わり、次は髄腔内に針を刺す番です。
じゃあ、本番の針を刺しますねー
はい、お願いします。
さあ、いつ刺さる?いつ刺さる?
と、痛みを覚悟して待ち構えていたのですが、一向に痛みがやってきません。
あれ?もう刺さっているのですか?
刺さっているよ~
え?刺さっているんですか?
全然痛くないです。
もう(髄腔に)入ってるんですか?
ううん、まだ入ってないよ。
これから。
背中の後ろで何が行われているのか分からないし、怖いし…
自分を落ち着かせるために、ついつい状況を確認してしまいました(^_^;
と、そんなやり取りをしていたら…
来ました!
グーッと背骨のあたりを強く押されるような感触が!!
けっして痛いわけではないのですが、手に汗握るような嫌~な感じの圧迫感。
と思ったら、一旦和らぎ、再度同じ圧迫感が来たところで
はい、オッケーです。
あとはよろしくお願いします。
どうやら髄腔内に針が入ったようです。
今から思えば、嫌~な圧迫感は、髄腔に針が刺さったときの感触だったんでしょうね。
針が刺さった状態で待機している間に、スピンラザの箱を開封して準備をされていたようです。
(髄腔内に針が入り、髄液の流出が確認できるまでは、箱を開封できない決まりなんだそうです)
開封の様子などはもちろん確認できませんが、
結束バンドを外して…
などの話しが聞こえてきたので、かなり頑丈に梱包されているようでした。
スピンラザの準備を待つ間、痛いといった感じはありませんでしたが、何かに押されているような嫌な圧迫感は続いていました。
準備が完了したところで、麻酔科の先生から、主治医の先生に交代され、いよいよスピンラザの投与開始です。
事前に聞いた話しでは、髄液を5ml抜いてから、スピンラザを1分間に1mlのペースで5ml入れるとのことでしたが、どの時点で髄液が抜かれたのか全く分かりませんでした。
Mizutaniさん、これからスピンラザを入れていきますねー
看護師さんがストップウォッチをスタートさせ、投与が始まりました。
間もなくして、背骨に沿って背中がホンの少しヒンヤリしてくる感覚がありました。
なんか背中がヒンヤリする感覚があります。
ホント?漏れているのかな?
いや大丈夫ですね~
看護師さんがストップウォッチを見ながら30秒ごとにカウントされ、
1ml…
2ml…
3ml…
とスピンラザをゆっくりゆっくりと髄腔内に投与されていきます。
そして、5分経過したところで5ml入り、スピンラザの投与が完了しました。
はい。終わりましたよ~
ありがとうございました(。・∀・。)ホッ-3
針を抜くときに、少し強めの圧迫感のような違和感を感じましたが、ホンの一瞬でした。
刺した箇所に大きめの絆創膏を貼ってもらい、スピンラザの投与が終わりました。
針が髄腔内に一発で入り、想像していたよりも、かなり早く終わりました。
時間にして20分くらいだったと思います。
レントゲン台からストレッチャーに移してもらい病室に戻りました。
髄液の漏えいを防ぐため、終わったあと2時間くらい安静にしていました。
看護師さんに聞くと、髄注中から吐き気や頭痛と言った副作用が出る患者さんもおられるようですが、僕は幸いにもそのような症状は出ず、2時間の安静後には車椅子に座ることができました。
背中の様子が見たくて、車椅子に座らせてもらう前に写真を撮ってもらいました。
(血が苦手な方は見ないでください)
その日は、心配していた副作用もなく、針を刺した腰のあたりがズンと軽く痛む程度でした。
入院 3日目
スピンラザ投与の翌日で、あまり激しい動きはしない方が良いとのことで、リハビリはお休みになりました。
入院して初めてお風呂に入れてもらい、背中の絆創膏も取れてスッキリ。
午後からは、職場の元同僚がお見舞いに来てくれて、のんびり過ごすことができました。
腰の痛みも和らぎ、この日も副作用は出ませんでした。
入院 4日目
朝の時点で副作用が出ていなかったため、リハビリが再開されました。
理学療法士さん
- 膝が伸びるようになった
- 足に少し力が入るようになっている
- 脚気の検査のように膝の下をコンとしたとき、少しだけ反射か見られる
スピンラザ投与前と比べて、 このような変化があり驚いておられました。
作業療法士さん
- グーパー、グーパーの回数を計測。
投与前より、少し回数が増えていました。
言語聴覚士さん
- 言葉の発音練習
- 舌と唇の動きのトレーニング
投与前より、言葉の発音に明瞭感があったそうです。
と、軒並み改善があるとの評価でしたが、僕の体感的には何の変化を感じられず、正直なところ半信半疑でした。
主治医の先生によると、僕の前に投与された患者さんは、初回投与から3~4週間後に大きく効果が現れたそうです。
この日も副作用はなく、もう大丈夫とのことで、翌日の退院許可が出ました。
入院 5日目
午前中にリハビリを受け、午後に退院しました。
まとめ
一番心配だった髄注の痛みは、想像以上に少なかったです。
麻酔科の先生の手技の巧さや、X線で透視しながらというのもあると思いますが、SNSで知り合った方が言っておられたとおりの感覚でした。
麻酔はインフルエンザの予防接種よりも痛くなくて、髄注は背骨を押されているような嫌な圧迫感はあるものの痛いと言う程ではない、と言うのが僕が実際に体験した感想です。
今回、初めて入院した病院でしたが、病棟の看護師さんやスタッフさんも、リハビリスタッフの方々も優しく親切に接してくださいました。
そして何より、入院中も支援に入ってくださったヘルパーさんたちのお陰で、安心して過ごすことができました。
感謝感謝です!
入院費の支払い明細書の金額を見て、あらためて高額な治療を受けたことを実感しました。
(日本国民の皆さんありがとうございます)
スピンラザによる治療を受けられるようにと導いてくださった主治医の先生、痛みなく針を入れてくださった麻酔科の先生にも感謝です。
次回の投与は1ヶ月後。
“ 終わりなき旅 ”は始まったばかりです。
でも、次の投与までに、少しでも効果が現れていると良いのですが、僕自身、投与前との違いを少し体感し始めています。
もう少し様子を見て、あらためて綴りますね。
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